スペシャルインタビュー

吹田市で進行中の大規模な住宅地開発、大手企業が一丸となって取り組む『千里 円山の丘』のこだわりに迫る!

2019(令和元)年11月16日に街びらきが行われた吹田市円山町の『千里 円山の丘』。それから約半年が経った2020(令和2)年3月、現地には徐々に住宅が増え、街並みにもにぎわいが見られるようになってきました。
今回はこの『千里 円山の丘』の進捗やプロジェクトのこだわりについて、開発に携わっている大林新星和不動産株式会社の森下さんとミサワホーム株式会社の水島さん、平山さんにお話をお聞きしました。

写真左からミサワホーム(株)平山さん、大林新星和不動産(株)森下さん、ミサワホーム(株)水島さん
写真左からミサワホーム(株)平山さん、大林新星和不動産(株)森下さん、ミサワホーム(株)水島さん

それぞれの企業の強みを活かして取り組む、サステナブルな街づくり

――今回のプロジェクトの経緯について改めて教えてください。

森下さん:かつて「日本生命千里山総合グラウンド」があった約78,000平方メートルもの広大な土地を2015(平成27)年に譲り受けました。都心近接としては希少な第一種低層住居専用地域と風致地区ということを踏まえ、“住宅地”として開発を進めることになりました。「サステナブルな街づくり」というコンセプトを掲げ、大規模住宅地開発における戸建住宅の新築プロジェクトとしては、全国初のサステナブル建築物等先導事業(省CO2先導型)に採択された先進のプロジェクトとして開発を進めています。

大林新星和不動産株式会社 森下さん
大林新星和不動産株式会社 森下さん

――今回は大林新星和不動産株式会社さん(ディベロッパ―)だけでなく、ミサワホームさんやトヨタホームさん(ハウスメーカー)と一緒に開発を進めていらっしゃるようですね。ディベロッパーは街そのものをコーディネートするのが得意な一方、ハウスメーカーは住宅の専門企業として各住宅・住まいの場をプロデュースするのが得意と聞いています。この両者が共同で取り組まれることでどのようなメリットがあるのでしょうか。

森下さん:ハウスメーカーさんならではのノウハウ部分でぜひ連携させていただけたらと思い、基本設計の段階から相談させていただきました。それぞれがお持ちの豊富な経験や知識を教えていただき、街全体と各住宅とを一連として捉え、開発を進めています。

「千里 円山の丘」の街並み
「千里 円山の丘」の街並み

平山さん:円山町は大阪の都心部に近い立地でありながら、海風が流れてくる位置にあり、さらに南西に向けて緩やかな傾斜地になっているので、素晴らしい風環境の条件が揃っています。ですので、大林新星和不動産さんから今回のお話をいただいた際には、まず「海風(自然の力)を活用する」ということを考えました。ミサワホームではこれまでも自然エネルギーを最大限に活用して、その地域の気候風土に合わせた街づくりに取り組んできた経緯があり、今回お声がけいただいたのも、そういった経緯や実績があったからだと思います。

ミサワホーム株式会社の平山さん
ミサワホーム株式会社の平山さん

地球温暖化やヒートアイランド現象の緩和を目指す取り組みには、特に力を入れています。自然の力で涼を呼ぶため、「微気候デザイン」という伝統的な住生活の知恵と現在の先進テクノロジーとを融合させた設計手法を取り入れており、街単位のミクロな気候を管理することによって、夏も冬も快適に過ごせるようにしています。
今回、「海風の活用」という観点で、プロジェクトの中にそういった技術を取り入れられるよう、一緒に工夫しながら取り組ませていただき、今の「千里 円山の丘」に至っています。

「千里 円山の丘」の街並み
「千里 円山の丘」の街並み

室内には自然の風を取り入れやすいように窓が多く、開放的
室内には自然の風を取り入れやすいように窓が多く、開放的

――プロジェクトの現在の進捗状況について教えてください。

森下さん:無電柱化や造成工事といった街づくりのハード面は全て完了しており、あとは住宅を順次、建て進めているところです。総戸数として303戸のうち、現在は全体の8分の1ほどが建設されています。街全体の完成は7〜8年後を予定しています。

企業と住民が一体となって「育てる街」

――まだまだこれから住宅が増えていくわけですね…!そんな街に込めている開発のこだわりをご紹介いただけますか。

森下さん:大きくは「省エネ」と「安心・安全」の2つのポイントがあります。「省エネ」としては、夏の日中の暑さ軽減、省CO2を目指す取り組みを指しており、具体的には、風の通る道を確保(海風を活用)した街区計画や、公園や緑道の面積を広く設けることによる緑陰効果のあるクールスポットの確保を指しています。さらに道路の温度の上昇を抑制する塗装を施した舗装や気化熱で地面の温度を下げる保水性のインターロッキングなど、街を冷やす環境技術を随所に採用しています。

「安心・安全」に対する取り組みとしては、災害による電線の切断や電柱の倒壊などの被害を回避でき、美観にも役立つ「電線の地中化」をはじめ、「防犯カメラの設置」や「警備会社による巡回警備(1日2回)」 、「防災スピーカーの設置」、雨水貯留槽や太陽光発電システムや大容量蓄電池、備蓄倉庫を完備した「集会所の設置」など、誰もが安心して暮らせる環境を実現しています。

「無電柱化」の言葉通り、街の中には電線が見当たらず景観が保たれている
「無電柱化」の言葉通り、街の中には電線が見当たらず景観が保たれている

――ミサワホームさんのこだわりはいかがでしょうか?

平山さん:街全体として取り入れた技術なのですが、万が一、震災が起きてインフラが停止した場合でも自立した快適な生活を送ることができるように、太陽電池とエネファームと蓄電池の「三電池」を各住宅に標準装備しています。また、建物の断熱性能を高め、暖冷房が使えなくなっても家の中が一定温度の範囲に保たれる環境を実現しています。ミサワホーム独自の取り組みとしては、収納スペースを大きく確保するように設計しており、家の中でも普段から食糧などの防災グッズを備蓄できるように提案しています。

各物件に装備されている三電池
各物件に装備されている三電池

水島さん:本プロジェクトは分譲地と住宅が関連して動いているのが一番の特徴です。例えば、防犯に関しても街中に防犯カメラを付けているだけではなく、住宅の中にもしっかりとセキュリティーを入れています。つまり、ディベロッパーとハウスメーカーの良さがうまくマッチングして、お互いに協力し合っているからこそ、相乗効果として魅力的な街づくりが可能になっているのです。さらに、サステナブル先導事業を対象とした街区に「街づくりガイドライン」を作成して、住まわれる方にも取り組みを理解していただき、共通したルールの下に「みんなで育てている街」と言えます。

ミサワホーム株式会社 水島さん
ミサワホーム株式会社 水島さん

――ディベロッパー、ハウスメーカー、住民が一体となって「街を育てている」というのは、素敵な、ワクワクする取り組みですね!

森下さん:確かに「街づくりガイドライン」は街のコンセプトを住民の方々に知っていただくルールとなるものです。街全体で一体となって取り組むことで、流行り廃りではなく、街自体の永続性が高まると思いますし、それでこそコンセプトである「サステナブルな街づくり」の実現になると思います。

平山さん:ミサワホームでは、は2014(平成26)年ごろに「日本で一番暑い街」とされる埼玉県熊谷市の開発に携わり、その際入居された方々に入居後のアンケートを実施したんです。すると、「最初は“省エネ”というキーワードに惹かれて入居したけど、今では街並みも好きになって、想像以上に愛着が生まれた」という回答がたくさんあったのです。この円山町のプロジェクトでも様々な取り組みの結果、住民の皆さんに“愛着を持っていただける街”になればと願っています。住民全員で協力して街を育てていく、街全体が生活圏、と考えていただければと思っています。

水島さん:今後は自治会もでき、住民主体の活動も増えていくかと思います。街を開発した作り手の思いを一方的に押し付けるのではなく、住まわれる方も共に思いを持って育てていけば、きっと誰もが誇れる街になっていくと思います。

自然の風の涼を身近に感じながら、利便性を享受できる街、「千里 円山の丘」

――最後に、「千里 円山の丘」を住まいの場として考えている皆さん、既に住んでいる皆さんにメッセージをお願いします。

森下さん:円山町周辺には教育施設はもちろん、「服部緑地」、「万博公園」などの広い緑地も多く、住環境としては申し分ありません。都市部へのアクセスが良く、新幹線や空港へのアクセスも便利です。これほど大きな規模の戸建住宅地で、これほど多くの利便性を享受できる環境は他ではなかなかありません。ぜひ私どものコンセプトに共感していただき、ともに街を育てていけるとうれしいです。

「服部緑地」の屋外プール
「服部緑地」の屋外プール

平山さん:ディベロッパーとハウスメーカーが一丸となって、大阪の風を生かした街づくりに取り組みました。ぜひ窓を大きく開けて、大阪の風を、そして大阪の自然を感じながら生活を楽しんでいただきたいと思います。

――ありがとうございました!

千里 円山の丘

大林新星和不動産株式会社大阪支店 戸建事業部 森下秀雄さん
ミサワホーム株式会社 商品開発部 平山由佳理さん
ミサワホーム株式会社 開発事業部 水島明浩さん

【大林新星和不動産株式会社】
https://www.osre.co.jp/k/maruyama303/

【ミサワホーム株式会社・トヨタホーム株式会社】(WEST街区)
https://www.suita-maruyama.jp/

※この情報は2020(令和2)年3月時点のものです。