吹田市立千三保育園 園長 岡田先生 インタビュー

親子で過ごす時間を大切に。長くこの街を見守ってきた「吹田市立千三保育園」の取り組みとは。

難波・本町・梅田・新大坂と、御堂筋には大阪の経済を担う商業施設が多く立ち並ぶ。そのエリアの北に位置する江坂周辺は、ベッドタウンとして発展し、落ち着いた住環境が魅力の街だ。そして現在、かつて円山町にあった「日本生命千里山総合グラウンド」の跡地には、大規模住宅地の分譲も控えている。「関西大学」がキャンパスを構え、文教エリアでもある円山町に位置する「吹田市立千三(せんさん)保育園」。今回は、そんな注目を集めるエリアにある同園について、園長の岡田先生にお話を伺った。

歴史が長く、古くから街を見守ってきた保育園

「吹田市立千三保育園」外観
「吹田市立千三保育園」外観

――まずは貴園の設立や園児数などを教えてください。

岡田先生:設立は1979(昭和54)年で2019(令和元)年で41年目になります。昨年40周年を迎えた際には、保護者会の方々を中心にお祝いの行事を行っていただきました。園児数は現在130人です。0歳が6人、1歳が17人、2歳が23人、3歳が26人、4歳が28人、5歳が30人となっております。職員は約40人ほどになりますが、日によって職員の人数は変わります。当保育園では、看護師や給食調理を中心に行う職員もおり、十分なスタッフで対応できるように体制を整えています。

地域に寄り添い、喜ばれる園の在り方を考える

子どもたちを育む園庭
子どもたちを育む園庭

――園の保育理念を教えていただけますか。

岡田先生:子どもの成長と発達をしっかりと支え、保護者の方が安心して働けるような子育て支援と、この街に住まわれている方の安心を支えてあげられる地域支援を担えるような保育園でありたいと考えています。

――そうした理念のなかで特にこだわりを持たれていることや、特徴的な取り組みなどはありますでしょうか。

岡田先生:当園の保護者の方々は、比較的めいっぱい働かれている方が多いんです。そのようなことから、当園では子どもたちを預かっている時間だけでなく、家に帰ってからの親子のふれあいの手助けになるようなことができたらいいなと考えています。例えば、今作っている運動会の旗などです。パーツ別になった部材を子どもたちに持って帰ってもらい、その組み立てや旗の絵柄などを親子で一緒に作ってきてもらったりしています。七夕やクリスマスの飾りつけなどの季節ごとの行事でも同じように、親子でふれあい、ものを作り上げるということに取り組んでいただいています。これらは親子で一緒に何かを作り、共感しあうようなことができたらいいねということから始まりました。こちらはもう4年目になる取り組みになります。

――保護者の方からの反響はいかがですか。

岡田先生:預けている間に子どもたちをみてくれるだけでなく、このような親子のふれあいや一緒に過ごす時間をつくってもらえるのは、とてもありがたい、といったお言葉も頂いています。

食べること、遊ぶことでしっかり育む心と体

食育に力を入れている
食育に力を入れている

――そのほかになにか取り組んでいらっしゃることはありますか。

岡田先生:当園は食育に力を入れています。当園の敷地には菜園があり、2歳児クラスから5歳児クラスまでは菜園で野菜などの栽培し、そこから収穫したものを使って給食室の先生に一品作っていただいたりしています。先日は給食の先生と一緒にピザを作ったりもしました。これも給食の先生方に協力してもらっていることで、3歳の誕生日になるとお箸の進呈式をしたり、さらにそのお箸を入れるためのかわいい箸袋を給食の先生が手作りで作ってプレゼントしてくださったりもしています。
また、お箸の進呈式と同時にお箸の使い方やマナーなどを紙芝居で紹介してくださったり、色々な形で給食の先生とのコミュニケーションをとって、食について子どもたち自身にも興味を持ってもらえるように取り組んでいます。
それ以外では特に当園だけの取り組みというわけではないと思いますが、おさんぽやどろんこ遊び、リズム表現や素足保育なども行っています。

菜園で収穫したものも給食になる
菜園で収穫したものも給食になる

――子どもたちと接する際に心がけていることを教えてください。

岡田先生:実際に当園で行っていることは年齢やクラスによって違いますが、何よりも一番は“子どもたちが窮屈でなく、楽しく前向きになれるような時間になるように”といつも考えています。例えば運動会など、子どもたちは積極的に練習をしようとしますが、だからといって今日も練習、明日も練習!というようなことは避けたいと考えています。「どうしたら子どもたちが楽しく取り組めるのか」「どうしたら毎日保育園に来るのが楽しいと思えるのか」ということは常に考えています。最近、「知育」という言葉も聞くのですが、当園では特に「知育」という特別なことは行っていません。いろんな遊び道具や自由遊びの時間があるので、その中で子どもたちが遊んでいることや興味を持ったことの中から、遊びのルールや友達との関わりなどを学んでいくことが一番良いのではないかと考えています。

園内だけにとどまらない地域のための園の在り方

「地域運動会」なども行われる
「地域運動会」なども行われる

――「地域運動会」や「地域やきいも」といった行事を拝見しましたが、地域と連携して取り組んでいる活動などについて教えてください。

岡田先生:運動会は当園から「運動会をするのでぜひお越しください!」という形でご招待して、地域の方に参加して頂いています。玉入れをしたり、体を動かして遊んだりして、小さなお子さんでも楽しめるような形式に工夫したり、園児との交流もしています。
「地域やきいも」は落ち葉や木で焚火をして実際に焼き芋を食べてもらうという企画です。芋にアルミホイルを巻いて投げ入れるというところからやって頂いて、焼けるまでには職員が寸劇をしたり、歌を一緒に歌ったりしながら楽しんでもらいます。クリスマスイベントもあり、当日の自由参加で申込制ではありませんので、ぜひいろんな方に気軽に来て頂けたらと思います。

――参加される方の感想を教えてください。

岡田先生:普段はなかなか体験できないことができていい、ほかのお友達とふれあうことができて楽しいと言っていただいています。自由参加という点も好評ですね。

――園庭開放やホール開放、育児教室の実施など、子育て支援についても教えてください。

岡田先生:地域担当という正職の職員が一名おり、その地域担当が中心となって地域との関わりにおける様々なことを行っています。園庭開放は水曜と土曜の午前中で、ホール開放は水曜日に行っています。また、その時に地域担当の手が空いていれば、来てくださったお母さん方と話をさせてもらったりもしています。お子さんたちには園庭の遊具や砂場などを使って遊んでもらっています。園庭開放も事前申し込みは必要なく、自由参加となっています。

子育て支援も充実
子育て支援も充実

――育児教室はどのようなことを行っているのでしょうか・

岡田先生:育児教室は参加費は無料で、「0歳児育児教室」と「1歳半育児教室」の2つのコースがあって、対象が0歳児の方が6か月~12か月未満の親子が対象となる5回のコース、1歳児半の方が1歳6か月~2歳6か月の親子が対象となる7回のコースになっています。親子のふれあい遊びの大切さを伝え、実際に繰り返し楽しんでいます。また、食育ということで、どちらの教室でも給食の先生が参加し、給食体験も行っています。子どもに合った食事の作り方や調理方法なども給食の先生と質疑応答して頂いています。育児教室は子育て中のお母さんの交流の輪を広げるきっかけにもなるので、参加された方にはとても喜んでいただいています。また、申込制にはなりますが、「遊ぼうデー」という体験保育を5月と10月の水曜日に設けていて、保育園の子どもたちとホールや園庭、外へのお散歩に出かけたりして一緒に遊んでいます。地域の方との交流で申込制になっているのは、この「遊ぼうデー」と「育児教室」の2つだけです。

吹田市は子育て環境に恵まれている
吹田市は子育て環境に恵まれている

――最後に、吹田市や「関大前」駅周辺エリアの子育て環境や住環境の魅力をお聞かせください。

岡田先生:子育て環境に関しては、地域の方が非常に熱心に取り組まれているように感じています。公園と緑が多い点も魅力ですね。生活する上で落ち着いたのどかさも感じることができますし、だからと言って不便なところではなく、むしろ便利な街ですので環境にはとても恵まれていると思います。

吹田市立千三保育園 園長 岡田先生
吹田市立千三保育園 園長 岡田先生

吹田市立千三保育園

園長 岡田先生
所在地:大阪府吹田市千里山西1-12-1
電話番号:06−6386−9178
URL:https://suita-city.mamafre.jp/archives/nursery/%E5%8D%83%E4%B8%89%E4%BF%9D%E8%82%B2%E5%9C%92/
※この情報は2019(令和元)年10月時点のものです。