地域とともに歩む「府中病院」の、新たな地域包括ケアに向けた挑戦
和泉府中駅前で長年にわたり地域医療を支えてきた「府中病院」。急性期医療を担ってきた歴史を持ちながら、現在は地域包括ケア病院として新たな役割を担っています。2023(令和5)年12月の再編統合を経て、地域包括機能へと大きく舵を切った同院。その中心となっているのが、西川慶一郎院長です。泌尿器科・人工透析を専門とし、約30年にわたり同院で診療に携わってきた西川院長に、病院の沿革や方針、地域との連携、そして和泉府中エリアの未来像について伺いました。

70年の歩みとともに進化する地域の中核病院
——まずは「府中病院」の沿革と概要について教えてください。
西川院長:生長会の始まりは昭和30年で、ちょうど70年の歴史を有しています。診療所のような形からスタートし、徐々に病院へと発展し、医療法人となりました。私はこの病院に勤めて約30年になります。もともと急性期病院として機能しており、私も泌尿器科と人工透析を担当してきました。
現在は泉大津市との再編統合事業により、ここから徒歩5分の「泉大津急性期メディカルセンター」へ急性期機能を移しました。「府中病院」は地域包括ケアに特化し、167床の地域包括ケア病院となります。急性期での治療後、すぐに自宅へ戻るのが難しい高齢の方々を受け入れ、リハビリや療養を通じて在宅復帰を支援することが現在の役割です。

“その人らしく生きる”を支える「府中病院」の医療方針
——地域の中核病院として大切にしている方針を教えてください。
西川院長:法人全体の理念は「愛の医療と福祉の実現」です。その実現のために、地域と職員とともに発展するチームでありたい、そして行き届いたサービスを提供することを大切にしています。これは創設当初から受け継がれてきた考え方で、長い歴史の中で培われてきたものです。
「府中病院」としては、再編統合を経て役割がより明確になりました。私たちが大切にしているのは、「その人らしく生きることを支える」ということです。

——「その人らしく」とは、具体的にどのようなことでしょうか。
西川院長:例えば、脳血管疾患などで麻痺が残る場合もあります。本来であれば元通りに回復することが理想ですが、現実にはそうならないケースも少なくありません。だからこそ、「元に戻す」ことだけを目標にするのではなく、その方の今の状態に応じて、できるだけ自立した生活を送れるように支援することが重要だと考えています。
急性期医療では、命を救うことが最優先です。しかし、その後の生活まで考えたとき、単に治療が終われば役割が終わりというわけではありません。足腰が不安定なまま退院するのではなく、リハビリを通じて日常生活を取り戻し、自宅での暮らしへつなげていきます。その過程を丁寧に支えることが、現在の府中病院の使命です。

——高齢化が進む中での医療の在り方も関係してきますね。
西川院長:そうですね。高齢者の方を前提とせずに医療や福祉は成り立ちません。一方で、医療費や介護費の問題もあります。だからこそ、なるべく自立した状態で生活していただくことが理想ですし、それが難しい場合は、地域全体で支えていく必要があります。
「府中病院」は急性期のように高度な手術を担う病院ではありませんが、その代わりに「生活に戻るための医療」を担っています。地域包括ケアの中核として、開業医の先生方や在宅医療の先生方とも連携しながら、治療と生活の橋渡しをしていく。
病気を診るだけでなく、その人の暮らしを支える。それが、私たちが大切にしている方針です。
急性期から在宅へ――167床体制で支える“暮らしの再起動”
——地域包括ケア拠点病院としての具体的な取り組みについて教えてください。
西川院長:再編統合により、急性期・高度急性期医療は「泉大津急性期メディカルセンター」などが担い、「府中病院」はその後方支援としての役割を明確にしました。急性期病院で治療を受けた患者さんを受け入れ、在宅復帰に向けた治療とリハビリを行う。さらに在宅や介護施設からの入院にも対応し、退院後の生活まで見据えて支援する――そのつなぎ役を担うのが、地域包括ケア拠点病院です。
——この4月に病院としてリニューアルオープンされるそうですね。
西川院長:この4月に167床へ増床し、回復期リハビリテーション病棟と地域包括ケア病棟が中心の地域包括ケア拠点病院としてリニューアルします。具体的には、回復期リハビリテーション病棟は40床から73床へ、地域包括ケア病棟は40床から78床へ増床します。加えて、NASVA委託病床を16床へ拡充し、必要とされる患者さんを受け止められる体制を整えます。新たな環境で、患者さん一人ひとりに寄り添うリハビリを実践していきたいと考えています。

——リハビリの対象や方針はどのように分かれるのでしょうか。
西川院長:回復期リハビリテーション病棟は脳血管疾患を中心に、集中的なリハビリで機能回復と生活再建を目指します。一方、地域包括ケア病棟は整形疾患や内科疾患まで幅広く、亜急性期も含めたさまざまなケースに対応します。急性期病院での治療を終えたあと、すぐに「退院」とはならない方も多くいらっしゃいます。そうした方に、治療面とリハビリ面の両方から関わり、できるだけ“自宅での生活”へ戻っていただくのが私たちの役割です。
——多職種連携も重要になりますね。
西川院長:疾患だけでなく、住環境やご家族の状況、退院後に必要となる支援も人それぞれです。だからこそ、医師・看護師・リハビリ専門職(理学療法士・作業療法士など)をはじめ、多職種が連携して、その方の生活背景に応じたリハビリ計画を立てていきます。退院後は在宅医療や開業医、訪問看護など地域の支援につないでいく。病院の中だけで完結させず、地域全体で支える流れをつくることが、地域包括ケア拠点病院としての使命だと考えています。

子育て世代にも広がる支援の可能性
——子育て世代や働く世代への取り組みはいかがでしょうか。
西川院長:法人内には不妊治療を行う部門もあり、若い世代への医療支援も行っています。将来的な構想としては、駅前立地を生かした病児保育の整備なども考えています。通勤途中に子どもを預けられる仕組みが整備することで、子育て世代の安心につながると考えています。
——地域向けの活動もされていますか。
西川院長:整形外科医による高齢者向け講座を実施しました。今後は理学療法士による体操指導や、社会福祉士による介護保険制度の説明なども企画していきたいですね。医療や介護の制度は当事者にならないと分かりにくい側面があります。地域の皆さまの声を聞きながら、必要とされる情報を発信していきたいと思っています。

和泉府中の未来を描く“駅前医療拠点”構想
——和泉府中エリアの魅力と今後の展望を教えてください。
西川院長:和泉府中は交通の便が良く、天王寺へ約20分、大阪市内主要部へも約40分でアクセス可能です。一方で、昔ながらの地域文化も残り、「だんじり祭り」なども盛んです。山手には新しい住宅地も広がり、若い世代も増えています。

西川院長:今後は、現在の建物の再整備後の敷地を活用し、高齢者の住まい、買い物、医療が徒歩圏内で完結する“コンパクトシティ”のような構想も検討しています。行政とも連携し、病児保育や地域サービスの充実も目指したいですね。
——最後に、これから住まれる方へメッセージをお願いします。
西川院長:病院が近く、スーパーもあり、交通も便利。安心して暮らせる環境づくりをこれからも進めていきます。地域とともに発展し、「ここに住んで良かった」と感じていただける街を目指します。ぜひ和泉府中をご検討ください。

府中病院
院長 西川慶一郎さん
所在地:大阪府和泉市肥子町1-10-17
電話番号:0725-43-1234
URL:https://seichokai.jp/fuchu/
※この情報は2026(令和8)年2月時点のものです。
