インタビュー

地域から温かいまなざしで見守られている「堺市立三国丘小学校」

大阪の中心部、大阪市に隣接する堺市は、約84万人の人口を擁する政令指定都市だ。豊かな歴史を持つ地域でもあり、独自の産業や文化が根付いている。また、近年は百舌鳥・古市古墳群の世界遺産登録に向けた取り組みでも注目を集めている。JR「堺市」駅周辺は、落ち着いた住宅街で、トップクラスの進学校・三国丘高校が近いこともあり、文教エリアの雰囲気も漂う一帯。この地区にある「堺市立三国丘小学校」を訪ね、松本貴之校長先生に教育方針や街の魅力について話をうかがった。

「堺市立三国丘小学校」校長 松本 貴之先生
「堺市立三国丘小学校」校長 松本 貴之先生

最盛期には2,000人を超える児童が在籍

――まずは、学校の沿革などについてお聞かせください。

松本校長:2015(平成27)年に創立70周年の節目を迎えました。本校は1944(昭和19)年に現在の南海「堺東」駅近くで「三国丘国民学校」として創設されましたが、開校間もなく空襲の悲劇に見舞われました。戦後の1945(昭和20)年に現在地へ移転、移転してから、70年です。1951(昭和26)年には校区が広がり、その4年後には、約2,100人の児童が通う大規模校になりました。現在は当時ほどの児童数はかかえておらず、645名23クラスとなっています。

堺市立三国丘小学校
堺市立三国丘小学校

――現在は児童数が多すぎず、まとまりが良さそうですが、学校全体の教育で特色を持たせている点を教えてください。

松本校長:学年の違う児童たちが一緒になって色々な活動を行う、「たてわり活動」に力を入れています。現在、1年から6年までの児童が一緒に行動できるようにグループ分けをして、遊びや掃除を行っています。遊びは鬼ごっこのような体を使う遊びが中心で、掃除は、廊下や階段などの共用部分を一緒にきれいにします。6年生がリーダーを務めて、低・中学年の子をサポートする形です。

――たてわり活動の良さや、身に付くものを教えてください。

松本校長:リーダーを務める高学年の児童には「自分がしっかりする」という自覚を持ってほしい、そして、低学年の児童には上級生の姿を見て、自分もこんな6年生になりたいという憧れを持ってほしいと思っています。実際に様子を見ていると、6年生の子は低・中学年の子に対して、大変優しい態度で接していると感じます。

校庭の様子
校庭の様子

自分が家族や社会の一員だと自覚させる

――各教科など、細かい部分で力を入れている点について教えてください。

松本校長:国語と、生活科や総合的な学習を関連させた学習に力を入れています。体験的な活動を重視しつつ、そこから課題を見つけ取り組むことを大切にしています。自然や社会、また、自分に関することを実際に児童たちが体験して学ぶ。例えば、1年生の児童であれば、「朝、顔をしっかり洗ったか」「歯を磨いたか」、またそれらを「親にいわれてしたのか、それとも、自主的にしたのか」といったことを尋ねます。親にいわれてやる子なら、「次は自分でやってみよう」と目標を設定します。次に「新聞を取りに行く」「食器を片付ける」「靴を並べる」など家族の一員として自分ができること、自分の仕事を見つけてもらい、成長を促します。

授業の様子
授業の様子

国語では、物語文や説明文を読ませて、グループや学級全体で議論させるような学習のほか、新聞やパンフレットの制作、インタビューの方法など国語の時間に学んだことを活かして、生活科や総合的な学習の時間で応用する流れを作っています。地域の方を訪ねて、インタビューをするなどがそれにあたります。

クラブ活動や食育に込めた思い

――子どもが興味を持ちそうな面白い授業内容ですね。クラブなどでも同じように特色ある活動をされていますか?

松本校長:クラブでは地域の方にいろいろと協力していただいています。「茶の湯」「さをり織り」「琴」「手芸」の各クラブは、地域の方に来ていただき、指導をお願いしています。堺市教育委員会の方針として、子どもたちに茶道を体験させることを推進しているのですが、外部の方に教えていただくことで、より本格的な作法が学べます。
家庭や学校だけで子どもを育てるのは難しいことですから、家庭・学校外の様々な人の協力を仰ぎながら子どもを育てることはとても大切です。子どもたちも地域の方々との交流を楽しんでいますので、非常に助けられています。

廊下の風景
廊下の風景

――食育にも力を入れていると聞きました。

松本校長:本校、三国丘中学校、榎小学校、三国丘幼稚園といった3校1園の中学校区全体で協力し合い、食育に関する取り組みを進めています。具体的には毎年、共通のテーマを設定し、各校でそれに基づいた研究や実践を行います。今年のテーマは「自分の体をしっかり守る」で、パネル展示や通信誌の発行などを通して、啓発しています。この食教育のおかげか、本校の児童は朝食の喫食率が全国平均よりも高いのも特徴です。これは保護者の方たちが常に意識されていて、家庭教育のレベルが高いということかもしれません。食育の大切さを感じます。

校内の様子
校内の様子

文化や教育を尊ぶ街の空気

――最後に「堺市」駅周辺エリアについてお聞きしたいのですが、住環境、教育環境、その他、この地域について感じることを教えてください。

松本校長:閑静な住宅街で家が立ち並ぶ反面、すぐ近くに百舌鳥古墳群の一つである「反正天皇陵」や有名な「方違神社」などがあり、日常的に緑を目にすることができます。校区外になりますが、「仁徳天皇陵」も近くにあります。道路は碁盤の目状になっていて、車両通行の規制がしっかりしている場所も多いですね。JRと南海の2線の利用が可能で、なんばや天王寺といった大阪市内の主要ターミナルまで10分程度で到着するので通勤・通学・買い物などに便利です。「堺市役所」も近く、暮らしやすい街だと思います。

反正天皇陵
反正天皇陵

――昔ながらの閑静な住宅街ならではの魅力も多そうですね。

松本校長:この地域が、環境に優れた文教地区だという自負を持って、住まれている方も多いと思います。そのせいか、地域の方が非常に親切で、体育大会のときの交通整理や学期末の大掃除など、色々と助けていただく機会が多いですね。PTAの皆さんも主体的に活動されています。塾も比較的多いですし、教育熱心な地域らしい魅力があると思います。

下校時の見守りの様子
下校時の見守りの様子

「堺市立三国丘小学校」校長 松本 貴之先生
「堺市立三国丘小学校」校長 松本 貴之先生

堺市立三国丘小学校

校長 松本 貴之先生
所在地:大阪府堺市北三国ヶ丘町5-1-1
URL:http://www.sakai.ed.jp/mikunigaoka-e/
※この情報は2017(平成29)年10月時点のものです。