堺市役所 子ども企画課 インタビュー

ソフトからもハードからも、安心して生み育てられる環境づくりを目指す「堺市役所 子ども青少年局」

古代には「仁徳天皇陵古墳」をはじめとする「百舌鳥古墳群」が築造され、中世には海外交易の拠点として「自由・自治都市」を形成した堺市。戦後、臨海コンビナートと泉北ニュータウンの造成により、現在の姿となった。
堺市では「子育てのまち堺の実現」を市の最重点施策に掲げ、妊娠から出産、子育て期に至る切れ目のない支援の充実に、取り組んでいる。今回はその堺市で実際にどんな子育て支援が行われているのか、堺市子ども青少年局子ども企画課の西口さん、子ども育成課の赤銅課長と有働参事、幼保推進課の近藤課長にお話をうかがった。

地域社会全体で子育てを応援するまち、さかい

赤ちゃんを見守りながら、親同士も交流できるキッズサポートセンターさかい「赤ちゃん広場」
赤ちゃんを見守りながら、親同士も交流できるキッズサポートセンターさかい「赤ちゃん広場」

――「さかい子育て応援団」について、サービスの概要や内容について教えてください。

西口さん:2012(平成24)年度から堺市が行っている活動で、市内で子育てを応援する活動をされている企業・団体様に登録をしてもらい、その登録情報をアプリやfacebookで紹介するというものです。登録して頂いた企業・団体・店舗には「さかい子育て応援団」に参加していることが分かるロゴマークを掲示しもらい、子育てをしているご家族にも分かりやすいようにしています。

授乳スペースやキッズスペース、おむつ替えコーナー、多目的トイレの設置、ミルク用のお湯の提供、ベビーカー等の貸出し、子ども用イスの用意などサービスの内容は多岐にわたります。こうしたサービス情報などを「堺市子育て支援情報サイト さかい☆HUGはぐネット」によって提供し活用ができるように工夫しています。

――「さかい子育て応援団」のそもそもの目的とはなんでしょうか。

西口さん:市内の企業・団体等に、子育てを応援する取り組みに関心を持っていただき、地域社会全体で子育てを応援する機運を高めることが目的です。少子高齢化は日本の大きな課題ですので、社会全体で子育てを応援し理解深めていきたいと考えております。

近藤さん(左)と西口さん(右)
近藤さん(左)と西口さん(右)

――現在どれくらいの参加企業や団体が参加しているのでしょうか。

西口さん:協賛数は現在約350となり、高島屋や大阪ガス、トヨタネッツカローラのような大きな企業から個人の飲食店や美容室など様々です。目標は500と掲げていますが、数字を目指すだけでなく、実際に子育て家族にとって有益なサービスになるように取り組みにも気を付けています。

利用者に合った情報をタイムリーに届ける「さかい子育て応援アプリ」

――「さかい子育て応援アプリ」について開発の経緯から教えて頂けますか。

西口さん:もともと堺市では子育て情報をメルマガなど様々な形で発信していましたが、それらを集約して利用者にとってもっと便利なものにしようと考えました。その結果、現在多くの方が利用しているスマートフォンのアプリがいいのではという結論になり、2017(平成29)年1月末に運用を開始しました。

子育て支援情報や保育所等のマップ情報、予防接種情報などの提供を主に、「さかい子育て応援団」に関しても特に授乳スペースのある施設・ミルクのお湯提供ができる施設・おむつ替えスペースがある施設に関してはマッピングして情報提供も行っています。

アプリの詳細についてはこちら
http://www.city.sakai.lg.jp/kosodate/hughug/seishonen_oshirase/ouen_appli/

「百舌鳥古墳群」
「百舌鳥古墳群」

――サービスの特徴や機能的に便利なところなどを教えてもらえますか。

西口さん:利用者に合った情報をタイムリーに届けるということを目的として作られています。妊婦検診や乳幼児健診、予防接種の時期のお知らせなど、登録情報に応じた情報が届くようになっています。また、子育て世帯に必要な手当てや、こども医療費助成等の内容や相談の窓口案内、堺市の子育てサービスの情報を簡単に調べられるようになっています。子どもの成長記録や日記帳の機能もあるので写真も載せることもできます。(※SNSとは異なります)

――利用者の方の反響はいかがでしょうか。

西口さん:アプリの試験版を何人かのユーザーさんに使用して頂きましたが、関連施設マップとイベント情報が好評でした。トップメニューのひとつ「子育て支援情報」は堺市のホームページでも掲載していますが、部署によって情報が一元化されていない部分もあるため、アプリでは一元化されて見ることができて便利だという声を頂きました。また、運用から半年と少しなので、今後さらに改善されていく部分もあると思います。

――そのほかにも工夫などされている部分はありますか。

西口さん:やはり、応援アプリもその存在を知ってもらうことが第一歩になりますから、認知に漏れがないように出生届を提出して頂いた際や、保健センターに妊娠届を出して頂いたタイミングで案内のチラシを配るようにしています。

赤胴さんと有働さん
赤胴さんと有働さん

区内に31ヵ所の「みんなの子育てひろば」、「高島屋」内にも施設を設置

――堺市の子育て世帯への支援について、公演・講座やサポートセンター設置運営などの支援事業に関してお聞かせいただけますか。

有働さん:堺区の「堺東」駅に直結する「高島屋」のなかには「キッズサポートセンターさかい」という堺市、ボーネルンド、高島屋の3者共同で運営している施設があり、「堺市つどい・交流のひろば」「ボーネルンドあそびのせかい」「タカシマヤわくわくプレイス」の3つのゾーンがあります。

また、地域には「みんなの子育てひろば」があり、NPO法人や社会福祉法人などの団体に補助金事業として運営してもらっています。概ね中学校区の中にひとつを目安に、現在は31ヵ所を開設しています。どのひろばでも子育て情報の提供を受けたり、相談ができたり、定期的にいろいろな講座も開かれています。

認定こども園への移行数は、全国でもトップクラス

「日本の歴史公園100選」に入選した「大仙公園」
「日本の歴史公園100選」に入選した「大仙公園」

――待機児童など課題への取り組みに関して教えてください。

近藤さん:待機児童数ですが、今年4月が31人、昨年が16人、一昨年が54人という状況です。多い時で2012(平成24)年は457人だったのが、着実に減ってきてはいます。昨年はこれまでで最少となったので、今年こそはゼロにと思っていましたが…。

ここ数年は、既存施設の建て替えや増築、私立幼稚園の認定こども園移行促進を中心に、小規模保育事業も効果的に取り入れながら、対策を進めており、待機児童解消に向け、引き続き必要な受け入れ枠の拡充を進めていきます。また、子ども子育て支援新制度がスタートして3年目になりますが、堺市では、認定こども園の普及が進んでいます。現在、公立・民間あわせ、幼保連携型が98ヵ所、幼稚園型が6ヵ所、保育所型が3ヵ所と計107ヵ所の認定こども園があります。認定こども園への移行数は全国でもトップクラスです。

――認定こども園のメリットなどについて教えてください。

近藤さん:メリットの一つとしては、保護者の方が仕事を辞めるなど、就労状況が変わっても、お子さんは引き続き在園できるという点です。保育所であれば、保護者の方が仕事を辞めるなど、保育の必要がなくなれば利用できませんので、そういった点はお子さんや保護者の方にとっても安心ではないでしょうか。

キメの細かさは堺商人のDNA!?堺で安心子育て!

子育て施設が充実
子育て施設が充実

――今までお話をうかがったこと以外で堺市独自の取り組みはありますか。

近藤さん:今後とも、安心してお子さんを生み、育てることができる環境を整えていくことが大事だと考えています。幼児教育の無償化が国において進められていますが、財源の確保が課題となっており、段階的に進めている状況です。

堺市では、お子さんが3人以上の世帯への独自支援として、3人目以降の保育料無償化を実施しています。世帯の所得や上の兄弟の年齢に関係なく、3人目以降のお子さんについて、0歳~5歳児の間の保育料を無償とするもので、これは政令市では初の取組みとなります。国の研究機関の調査では、理想のお子さんの数が3人以上だが現実的に難しい理由として、7割近くが経済的負担を理由に挙げています。特に経済的負担の大きい多子世帯への支援を通じ、少子化への歯止めにもつながればと思っています。

お話を伺った各部署の皆さん
お話を伺った各部署の皆さん

また、待機児童問題といった、保育の量的な面が取り上げられることが多いですが、堺市では質的な部分も大事にしています。例えば、国の保育士の配置基準では1歳児は6人に保育士1人となっていますが、堺市は5人に1人としているほか、民間施設における配置改善などへの補助、資質向上のための研修の充実などにも力を入れています。

さらに、身近な認定こども園や保育所を「マイ保育園」として登録していただくことで、妊娠中からお子さんの小学校入学まで、保育士による育児相談や子育てに関する情報提供を受けることができる事業も実施しており、現在4,000人ほどの登録者がいます。

マイ保育園の詳細はこちら
http://www.city.sakai.lg.jp/kosodate/hughug/mokuteki/shiritai/teate/kosodate/myhoikuen.files/20160509101146.pdf

赤銅さん:働きながら子育てするうえで一番困るのは、お子さんの急な病気やケガです。堺市では現在5ヶ所の病児保育施設を開設しています。お子さんが病気のときでも安心して働けるよう専門の施設で保育士、看護師が保育を行います。また、今年度は新たに訪問型の病児保育事業をスタートする予定です。

有働さん:子育ての悩みや不安がある家庭などに堺市に登録されている「子育てアドバイザー」を無料で派遣する事業も行っています。子育てを終わられた方や、子育てに興味がある方が市が実施する研修を受け、子育てアドバイザーとして登録してもらっています。現在500名以上の登録がありボランティアで活動を行って頂いています。全国的にみても非常に珍しい取り組みで、政府広報のインターネットやテレビで紹介されたこともあります。

春にはつつじまつりで賑わう「浅香山公園」
春にはつつじまつりで賑わう「浅香山公園」

――最後に、堺市の子育て環境としての魅力を教えてください。

赤胴さん:各種の制度がライフステージに応じて切れめのないきめ細かいサポートをしている部分は堺市の魅力かと思います。困ったときには相談するチャンネルがいろいろあるというところが子育てをする人にとって心強い部分ではないかと感じています。

近藤さん:市街地にも身近に大きな公園があるなど緑が豊かで、気軽に家族で楽しむことができます(1人あたりの公園面積も、政令市平均より高いです)。また、自治会活動も盛んで、学校の登下校時の見守り活動や地域の子育てサロンといった活動を通じ、地域全体でお子さんの成長を支えていこうという思い、人と人とのつながりを大事にしようという思いを、同じ堺に住む者として強く感じます。

西口さん:こども企画課でいろんな企画を行うのですが、参加してくださる市民の方が「少しでも人の役に立てば」という意識の強さを感じます。そういう社会意識・関心の強さは他ではなかなかないのではと思っています。そういった関心の高さが堺市の子育て支援のきめ細かいサポートを押し上げてくれているのかなとも感じています。

有働さん:与謝野晶子や利休など歴史文化が豊富で歴史にちなんだ包丁やお茶菓子などの名産も多いです。そういう歴史文化にも触れられる機会の多い街だということも伝えていきたいです。

堺市役所子ども青少年局子ども青少年育成部子ども企画課
堺市役所子ども青少年局子ども青少年育成部子ども企画課

堺市役所 子ども青少年局子ども青少年育成部子ども企画課

主査 西口朱弥さん
所在地:堺市堺区南瓦町3-1 堺市役所高層館8F
電話番号:072-228-7104
URL:http://www.city.sakai.lg.jp/shisei/gaiyo/annai/gyoseikiko/seishonen/index.html
※この情報は2017(平成29)年8月時点のものです。